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a black cat
~Lunatic Venus Op.1 “Ruin”~
月夜の晩... 黒猫は躍る...
しなやかな躯で忍び寄る
其れはほんのささやかな悦び
《別離の挨拶》は出会いの始まり
名も無き黒猫は空虚な笑みを湛える
「初めまして...」
「今晩は...」
「共に往きましょう...」
三日月の窓辺... 少年は魘される...
冷ややかな指先が絡み付く
其れはほんの一時の苦痛
《出会いの挨拶》は別離の約束
初めから無意味な悼みを孕むのなら
「初めまして...」
「今晩は...」
「君と往くことにします...」
有すれば失い 喪っては悼む
嗚呼... 其れなのに何故...
何故奪えないと云うのか……
黒猫は自我を得 我を失い
そして宿命を裏切る……
然れど彼女の手の中からは誰も
逃れられない──
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