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空きビンの城
~Lunatic Venus Op.7 “infinity”~
憶えてる?
この汚い路地裏に ガラクタで
狭苦しい秘密基地を作って
遊んだ。
狭い青空が 見えるような見えないような
薄汚い《経済成長の遺産》の隙間と 裏側で
不意に溢れる光が
眩しかった……
窓の代わりに 空きビンを積み上げて
それはそれで いい出来だった
昼間の陽射しが キラキラ光って
夕陽の時間は 寂しかった。
誰も相手にしない ガラクタの山だった
相手にされないから
取り壊されもしなかった『城』──
でも やっぱり 『城』だった。
今さらだけど 少し考えるんだ
どうしてオレンジは切ないのか
あの夕陽が どうも苦手なのは何故なのかって...
簡単だった。
帰る場所もなく 帰路に就いたから...
あれはただの ままごとだったね
でも やっと 帰ってこられた……
跡形もなかったけれど 今でも『城』だった。
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