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漣の詩

冷たい潮風... 踝を包む海の切れ端...

もう少しで終わる やっと終われる

 

苦しかった

 

 

助けを求めても 誰も振り向いてくれない

道端で転んでも 誰も手を貸してくれない

 

交差点には人々が溢れているのに

この地上で 私は凍てつくほど孤独だった

 

 

幸福の中に希望を見出せず 時間が過ぎた

日々は手のひらから零れ落ちて

手を伸ばしても 絶望にしか届かない

 

「幸せだ」とか「不幸だ」とか...

そんなことを考える暇も無く 介護に明け暮れた

姉を母と呼び 甥姪を育て 父の世話をした

来る日も来る日も……

 

自分の足で歩き出すのだと 嬉しかった

この街で恋もした 愛し合った だけど彼は死んだ

残された義母の 介護の日々が始まった

けれど... 義母も死んだ

 

私は独り 世界に取り残された

 

何度か 好い機運も在ったけれど

結局... 直ぐに陽は傾いた……

 

 

私の人生は きっと 報われないものなのだと

徐々に気付いて それでも

行き止まり迄は 歩くことにしたのだ

そして今 漸く 行き止まりと対峙した

 

天命に気付かず 更に存在を無視して

何もかも投げ出す私を どうか忘れてください

 

赦されたくもないし そう願いもしない

兎に角 世界から解放されたい

 

だから 私を記憶しないでください

どうか忘れてください

 

この波に呑まれて 消えたいのだ

消えてしまいたいのだ

 

 

苦しかった

 

苦しかった記憶も消したい

楽しかった思い出が消えても構わない

だから私を どうか忘れてください

初めから居なかったことにしてください

 

そういう世界になってください

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