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戦靴の音
何が起きても誰も気にしなかった
弾圧されているのは自分ではないと
思い込んで無関心を貫いた その結果
甦った世紀の悪法──
其れは時間のずれた此の横濱でも同じだった
此の横濱でも 治安維持法は施行されていた
人間性や本能的な興味を煽る作家は 粛々と
抹殺される ──そんな世界だ
少しずつ近付く 戦靴の音...
戦は海の向こうからやって来るのではなく
狭い国の狭い心から 滲み出て
抑えきれなくなった汚い化け物 そのものなのだ
横濱の潮風が 今日も殺戮の臭いを運んでくる……
無関心の代償
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