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赤い靴

 

 

 

私は何処から来て 何処へ行くのだろうか

本当の私は誰で 何の為に生きるのだろうか

 

父の顔は見たことも無い

多分 擦れ違っても 互いに気付かないのだろう

 

母の顔は見たことしか無い

優しい声だった筈と 未だに記憶を美化している

 

思えば 何時も独りだった

紙の余白や裏側に落書きを繰り返して

友人は 自分で描くものだった

 

赤色の風潮も 詩人の歌も 私には関係無い

私自身が 世界との関係を持たない “亡き者”

其れなのに何時の間にか 世間に私が溢れ

都会の道端で 私は私と出会い続けた

 

私は誰なのだろうか

本当の私は何処に居るのだろうか

其れとも全てが 偽物なのだろうか

 

彷徨う運命の終止符は 負の感情に囚われて

思考に雁字搦めにされた身体では 届かない

袋小路に迷い込めば 選択肢は二つだけ

一つは死だった 然し私は生きている

 

私は救われた... 苦しみは感じない

私は私を得た... 喜びも感じないけれど

 

この街を覗けば 私は生き続けていた……

 

私は誰なのだろうか ──私は私である

空っぽの儘 其れが私なのだ

 

貴方は誰なのだろうか

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