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幸せの子

 

 

何時の時代も 翻弄する者と される者が在り

宿命は無慈悲に 世界を全うさせようと鞭を振るう

誰もが運命と云う糸に繋がれた 哀れな傀儡

 

其れでも私は……

其れから目が覚めた……

私は仏壇の前で義母の遺影と向き合って

居眠りをしていた様だった

 

然し スカートの裾には濡れた様な跡が残っていて

私の脚も濡れた儘だった……

 

刹那 前時代的な警報が

小さな町内に響き渡って

遂に砂時計の軽い砂が重力に逆らったのだと 知った

 

呆然と空を見上げた

きっと此処も徐々に赤らむのだろう

其の炎は 何を焼き付くすのだろうか

汝の敵か 味方か 若しくは全てか

 

辺りが騒がしくなった

武装した人間の足音が近付く

破滅を刻む様な 不気味に乾いた音

 

私は心を決めた 神に諭されたかの様に

白い布切れを翻して 表に出た

 

運命は動き出す

私は生きていくのだ

これから先も

 

 

何も残っていないけれど

裸の運命を抱き締めて

私は今 幸福だった

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