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冒険
【天空の街】──天空を臨む 極光の街
人が行き交う 止まることのない波の様に……
一昨日 この街では二人の幼子が
二週間前には 老夫婦が姿を消した
それでも人々は 止まらない
擦れ違う人々の表情の無い顔
この街を形作るのは 無関心と無頓着
金を神に... 平均的な生き方を... 異論は認めない...
それは本当に 自由なのだろうか?
【鳥籠の街】──錆色の空が包む 廃れた街
生命感の失われた 時代に置き去りにされた街
乾いた風が吹き抜けて 砂を巻き上げる
人影は無く 夕陽に浮かび上がる 鳥籠の様な
骨組みだけの幻想的な影が 襲い掛かる街
嘗て この街にも人が居たのだろうか
ここにも 生活があったのだろうか
何の面影も無い 脱け殻の街に 怨念が運ぶ
古びた本の残骸と 読み取れない文字
筆者は記憶を刻む……
【記憶の草原】──鳥籠を包む 風の草原
何も無い草原は 冷たい風を受け入れて
記憶の隅まで照らす様に すべてを洗い流す
其処に佇む老人は 探求者の来訪を待つ
流れる時間の中に取り残された 孤独な証人
万物は流転する 輪廻を繰り返す
だからこそ人は 忘却から逃れられない
結晶は平和の為に忘れ去られたの?
神は誰の為に忘れ去られたの?
ご都合主義が過ぎたようで 誰も答えを求めない
自分の身に 生活に 危険が及ぶまで 忘れた振り
白い鳥は夕焼けに染まって 夜の向こうへ消えた
【鏡の湖】──月と星を浮かべた 自然の鏡
宝石は夜空に散らばり 運命も示さず瞬く
水面に浮かぶ三日月と金星は 唯 明るく光るだけ
街から離れて 世界の広さを実感した
手に入らないのに 星が 初めて美しく見えた
凍った様な静かな夜 煩い奴等が側に居る
そんな有り得ない光景が 俺の辿った途に在った
狭い箱庭を抜け出して 運命は廻り始める
誰かが綴った物語 この世界の真相を知る冒険
【女神の街】──公国の首都 総てが整然とした街
私たちは壮大な仮説と共に 首都に到着した
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