Lunatic Venus
~Lunatic Venus Op.3 “poison”~
時間の止まった世界
夢の無い睡眠に堕ちた可哀想な人々
夜空の見えない長い夜
物語を識らない人々は永遠に囚われて
泣くことも知らず 歩き続ければ良い
私は操り人形には成らない
貴方も笑いたければ 笑えば良い
どう遣っても私は貴方には成れないから
貴方も私には変れないから
貴方に私の歌は届かない
だから此処で左様なら
私は道化師の手を取った
月の鏡... 人魚の歌... 硝子の蝶...
魔女の毒... 神の殺意... 予言者の嘘...
悪魔の囁き... 魔境の森... 夢見る少女...
土塊の欲望が尽きない様に
色褪せない幻想は 永久に尽きない
けれど... それなのに... どうして...
誰も私の幻想を聞いてはくれなかった
誰も私の幻想を信じてはくれなかった
だから此処で左様なら
月と金星が重なる夜に
天使が堕ちたら 最後の扉が開く合図
鍵はこの手の中に在る あとは何も要らない
私は 嗤う道化師の手を握って
荊の森を抜ける
何処かで何かが壊れて散った
道化師は 幼い私の手を握って
月の丘へ走る
私は私を裏切らないから
何億年 何億光年の 時間と距離を消して
見えない空で呼んでいる三日月を追い掛けた
月が私ではない誰かを求めていたとしても
私はその世界を求めている
天使でも悪魔でも 聖女でも魔女でも
事実でも虚構でも 真実でも虚偽でも
私は其処に在るものから目を背けない
私がこの甘美な毒に蝕まれる前に
世界が終わると信じているから
初めて観る世界 夜空の視える月の丘
此処から始まる 私が創る幻想の物語
月と金星が重なる夜に
堕ちた天使が最後の扉を開く
誰かが私を待っている
貴方も夢が欲しいなら 此処まで来れば良い
貴方が私と幻想を受け入れるのなら
私も貴方を拒まないから
私は嗤う 道化師の手を握って
揺らぐ三日月を眺める
次は私が道化師に成る番...
私は嗤う 幼い貴方の手を引いて
私の声が響き渡る
月と金星が重なる夜に……