薄暗く 小さな部屋
眠るあなた 隣に横たわるわたし
砂時計は零れきって
空が朱と碧の絵の具に 汚される
あなたの鼓動が途切れた

 

わたしは 小さく息を吸った
眠るあなたを じっと見つめる
もう二度と動かない
重力に逆らえない 砂時計
あなたの気持ちが はじめてわかった

 

わたしが知らない その日
あなたの願いは 遠い空の向こう
宇宙の果てか 太陽のなかにあった
ひとが叶えられない夢なら
あなたは自力で叶えた

 

あなたの行為は愚かだった
誰がどう見ても 愚かで 浅ましい
それでも時間は進んだ
あなたの望み通り 戻らない時間
あなたも 単なる螺旋の一部分だった

 

わたしもあなたと同じ
同じ 歯車のひとつに過ぎない
わたしも過ちを犯す
夜が明けるまで あまりに長い
それでも 涙は生まれてこない

 

このからだに組み込まれた
単純で 安い回路
砂時計をひっくり返して
あなたを埋めて 墓標を立てた
砂時計がゆっくりと 減る

 

あなたの隣に眠るわたし
わたしの隣に眠るあなた
墓標の数が過ちの数
わたしとあなたの 過ちではない
わたしたちの 過ち